1.ハンドル操作、ブレーキ操作、車輪別の速度を解析
今回は、VCDSケーブル*を使って「ハンドル操作」「ブレーキ操作」「車輪別の速度」のログデータを取得し、そのデータをエクセルに取り込んでグラフ化し解析しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
では、さっそくグラフを見てみましょう!
VCDSケーブル・・・VCDSケーブルは VWグループの自動車の診断と調整ができる「VCDS」という機器が付いたUSBケーブルのことで、アメリカのRoss-Techという会社が開発し販売しています。
2.解析グラフをみる
グラフ中の色付き線は以下を意味しています。
- 黄緑色・・・ハンドル角度(左に切ると+、右に切ると-)
- 水色の領域・・・ブレーキの踏んだ強さと時間
- 緑色・・・フロント左側車輪の速度
- オレンジ色・・・フロント右側車輪の速度
- 灰色・・・リア輪左側車輪の速度
- 黄色・・・リア右側車輪の速度
- 赤色・・・ハンドル回転率
※ハンドル角度とハンドル回転率はグラフの中央が基準で、その他は一番下が基準となります。
3.グラフを分析
グラフを見るとわかりますが、ハンドルを操作した回数は4回(黄緑色のライン)、ブレーキを操作した回数は9回(水色の領域)でした。
ちなみに、今回は住宅街のような場所を走ったので、速度はさほど出ていません。
ハンドルの操作は、急になるほどカーブがきつくなり、ゆっくり切るほどカーブは緩やかになります。今回は交差点を4回曲がったので、4回とも同じようなカーブになりました。
ブレーキの操作は、強くかけるほど水色の領域が高くなります。グラフの最初の3つの高い山は、車を停車させている時のもので、後の小さな山は徐行するために減速した時のものです。
車輪別の速度は、緑色、オレンジ色、灰色、黄色のラインがほとんど重なっています。これは、直線部分を多く走っているので4輪とも速度が同じだからです。
ハンドルを切っている間だけは「内輪差」によって左右の車輪の速度に違いが出ています。(下図)
今回のグラフを見ると、ハンドルを左に切ると右側の車輪の速度が高くなり、逆に、右に切ると左側の車輪の速度が高くなるのが良くわかります。
4.ログを見ればドライバーの癖がわかる
普段から急ハンドルを切る人、毎回のようにアクセルを一気に踏む人、せっかちで急ブレーキばかりかける人などなど・・・ドライバーの運転にもいろいろですが、今回のようなログを取って解析・分析すれば、その人の癖は一目瞭然です。
それにしても、エンジンやトランスミッションには多数のセンサーが必要だというのは何となくわかっていましたが、ハンドルやブレーキ、4輪それぞれの車軸にまでセンサーが付けられているとは思いませんでした・・・。
現在の車は、まさにセンサーだらけのハイテクの塊ですね。
5.まとめ・備考・その他
実は、今回のログデータを取得できた時間はわずか「約111秒」でした。
なぜ、取得時間が短くなってしまったのかというと、このデータには「プロテクト」のようなものがかかっていて、ログを取り始めるとすぐにスピードメーター内の警告ランプが3つ点滅し、VCDSケーブルとの接続が強制的に切られてしまうからです。
これまで、エンジンやトランスミッションのデータを何度も取りましたが、強制的に切られるようなことは一度もなかったので、今回のデータには知られたくない何かが隠されているのかもしれません。
END